
中高一貫校で広く採用されている『体系数学』は、公立中学校の教科書よりも量が多く、内容も高度な数学教材です。分野ごとに内容が体系的にまとめられており、同じ分野を「やさしい問題 → 難しい問題」へと段階的に学べる一方で、授業進度が速く、自力での学習が難しいという声もよく耳にします。
このページでは、
- 『体系数学』とはどのような教材か(各巻の内容)
- 体系数学で多くの生徒がつまずく理由
- 体系数学を「負担」ではなく「武器」にするための攻略法
- 中高一貫校専門塾エスコットによる体系数学対策
を整理して解説します。体系数学の特徴を理解し、効率よく学習を進めるための参考にしてください。
1.体系数学とは?
『体系数学』は、数研出版が発行する中高一貫校向け教科書で、特に上位校で多く採用されています。同系列の分野が体系的・連続的に掲載されているため、
- 同じ分野の内容を、簡単なものから難しいものへと体系的に学べる
- 先取りでカリキュラムが進むため、内容が高度になっている
- 参考書・問題集・書き込み式ノートなど、一式セットで使われることが多い
といった特徴があります。全シリーズを通して、中学~高校範囲の数学を総合的に学べる教材です。
体系数学1(中1・中2用)
体系数学1は、中1・中2生向けの教材で、代数分野・幾何分野の基礎を固めます。
代数分野:数と式の基本的な性質を知る
正負の数/文字式/一次方程式/連立方程式/不等式/1次関数 など
幾何分野:図形の基本的な性質を知る
平面図形/空間図形/合同と証明 など
体系数学2(中2・中3用)
体系数学2は、中2・中3生向けで、「中学内容の仕上げ」と「高校数学への橋渡し」を担う1冊です。
代数分野:数と式の世界をひろげる
式の展開/因数分解/平方根/二次方程式/y=ax²/確率 など
幾何分野:図形のいろいろな性質をさぐる
相似/線分の比(チェバ・メネラウスの定理)/円/三平方の定理 など
体系数学3(高1・高2用)
体系数学3は、高1・高2生向けで、内容は「数式・関数編」と「論理・確率編」に分かれています。
数式・関数編:数と式・関数・図形の性質
式と計算/3次式の展開/因数分解/恒等式/等式・不等式の証明/二次関数/三角比/集合/命題・証明/データの分析 など
論理・確率編:論理・確率と統計・整数の性質
集合/順列・組み合わせ/確率/整数の性質/三角形の性質/円の性質/空間図形 など
体系数学4(高2用)
体系数学4は、主に高2生を対象とし、微積分の基礎と数列・ベクトルを扱います。
微積分の基礎と数列・ベクトル
式の計算/複素数/2次方程式/高次方程式/恒等式/図形と方程式/三角関数/指数関数/対数関数/微分法/積分法/数列/平面ベクトル/空間ベクトル など
体系数学5(高3用)
体系数学5は、高3生向けで、複素数平面と微積分の応用を中心に学習します。
複素数平面と微積分の応用
ロピタルの定理/微分方程式 など
2.体系数学での主な課題
体系数学は、公立校の教科書に比べ、量が多く、内容も難しい教材です。その分、内容をしっかり理解できれば大学受験対策にもなるハイレベルな教科書ですが、現場では次のような課題がよく見られます。
授業進度が速く、理解が追いつかない
中高一貫校の授業は先取りが基本のため、
- 内容が理解できないまま授業が進んでしまう
- 「なんとなく分かったつもり」の状態で、定着する前に次の単元へ進んでしまう
といったケースが非常に多く見られます。
量・難易度が高く、自力学習が難しい
体系数学は、
- 学習すべき内容が多く、予習・復習にかなりの時間がかかる
- 内容そのものの難易度が高く、自力で学習を進めるのが難しい
という教材です。授業中にかろうじて理解できても、復習の演習量が足りず、定着する前に忘れてしまうこともよくあります。
課題量が多く「こなすだけ」になりやすい
学校によっては、問題演習のほとんどが「課題」として課される場合もあります。その場合、
- 自力で問題演習をしようとしても相当な時間が必要
- とにかく課題を終わらせることが優先になり、内容理解が追いつかない
といった、「やっているのに力がつかない」状態に陥りやすくなります。
体系的だからこそ、ひとつのつまずきが致命傷になりやすい
体系数学は、同じ分野をまとめて学習できるという利点がある一方で、
- ひとつつまずくと、その先の内容すべてが分からなくなりやすい
- 自力で遡ってフォローすることが難しく、苦手が雪だるま式に広がる
というリスクもあります。
さらに、体系的な構成ゆえに、
- 学年が上がったあとに「同じ分野を易しい問題から復習し直す」機会が少ない
- 定着しきれていない分野があっても気づきにくい
- 定期的に復習しないと、過去の内容を取り戻すチャンスが少ない
といった点も課題として挙げられます。
定期テスト・塾との進度のズレ
中高一貫校の定期テストは出題範囲が広く、体系数学に沿ってかなりの応用問題も出題されます。しかし、
- 前述のように高難易度のため、自力でのテスト対策が難しい
- 塾に通っていても、塾の進度と学校の進度が合わないことが多い
- 集団授業の塾では、学校と同じように「分からなくても授業が進んでしまう」
といった負のループに陥ってしまうケースもあります。
結果として、次のような状況に陥る生徒さんが少なくありません。
・量が多く、問題をこなすことができない
・問題演習が十分にできない
・学習指導要領の範囲を超える難しい問題が多い
・集団塾では進度が異なるため内容が合わない
3.体系数学の攻略法
中高一貫校専門塾エスコット(Escot)では、完全1対1の個別指導で、上記のような課題に対して次のような対策を行っています。
Level A~Cを使った段階的な攻略
体系数学は、問題の難易度がLevel A/B/Cに分かれています。難易度は、A → B → Cの順に上がっていきます。
- Level A:教科書レベルの基本問題。まずはここで基礎を固める。
- Level B:幅広い種類の問題が揃った標準~やや難レベル。
→ Level Bがしっかり理解できていれば、定期テストで上位に入れるレベルに達します。 - Level C・総合問題:かなり難易度が高く、入試レベルの応用問題が中心。
攻略の基本は、
- Level Aで基礎を固める
- Level Bで標準~応用レベルを徹底反復
- 必要に応じてLevel C・総合問題に挑戦
という流れです。
特にLevel Bについては、
- 解けなかった問題は、解けるようになるまで何度もやり直す
- 一度は解けた問題も、時間を置いて定期的に反復練習する
ことが非常に重要です。
板書プリントとデータ管理で「復習しやすい仕組み」を作る
当塾では、授業が終わるたびにその日の授業の板書をそのままプリントとしてお渡ししています。
- 授業中に解説した解き方・発想が、そのまま手元に残る
- 復習の際、「どうやって解いたか」をすぐに思い出せる
さらに、板書データはデータベースで管理しているため、
- 「一度は解けたのに、時間が経って解けなくなった問題」も、過去の板書をすぐに呼び出して復習できる
- 過去に受講した授業の復習・再演習を、タイムリーかつ効率良く行える
といったメリットがあります。
体系数学は、分からない問題をそのままにせず、きちんと理解し、反復練習することが何より重要です。そのための「仕組み作り」まで含めてサポートします。
学年別単元と開講コース
学年別の数学対策と扱う単元は、以下のリンク先で詳しくご案内しています。学年別にコースを設けており、学校の進度・理解度・目標に合わせた指導が可能です。
教室型の授業に加え、オンラインでも同様の授業が受講可能です。オンライン授業については、コチラをご覧ください。
中高一貫校専門塾エスコット(Escot)は、完全1対1の個別指導で、生徒さん一人ひとりに合わせた体系数学対策を行っています。状況やお悩みはそれぞれ異なりますので、まずは一度ご相談ください。
数学の勉強方法を見直したい方へ
体系数学の内容に入る前に、そもそもの数学の勉強法を見直すことも大切です。
- 代数分野の勉強法は、数学(代数分野)が中々出来ない生徒さん向けの勉強法を参考にしてください。
- 数学全般が苦手に感じている場合は、コチラにあるように、学習方法を工夫するだけで状況が好転する可能性があります。
普段の学習方法を見直しつつ、体系数学を活かして成績アップ・志望校合格を目指していきましょう。
4.まとめ:体系数学を「味方」にするために
本ページの内容を整理すると、体系数学を使いこなすためのポイントは次の通りです。
- 体系数学は、分野ごとに内容が体系的にまとまった中高一貫校向け教材で、公立教科書よりも量・難易度ともに高い
- 同じ分野を「やさしい問題 → 難しい問題」へと連続して学べる一方、ひとつのつまずきがその先の学習に大きく影響しやすい
- 授業進度の速さ・課題量の多さ・自力学習の難しさから、「こなすだけ」で終わり、定着しないケースが多い
- 攻略の基本は、Level Aで基礎 → Level Bで標準~応用を徹底反復 → 必要に応じてLevel Cへという段階的学習
- 分からない問題をそのままにせず、理解 → 練習 → 反復のサイクルを回す仕組み作りが重要
- エスコットでは、板書プリント・データ管理・学年別コース・オンライン授業を組み合わせ、体系数学を「負担」から「武器」へと変えるサポートを行っている
体系数学は難しい教材ですが、その分しっかり取り組めば大きな力になる教材でもあります。適切な学習方法とサポートを得ながら、体系数学を味方につけていきましょう。
講座案内:受験対策 早慶対策講座【英語・数学・国語】
学部により出題形式に特色がありますので基本的な英語修了後は過去問に即した演習形式の授業になります。
【数学】
典型問題に加えて、多少難度の高い問題や見新しい問題についても解答していく力を養うことを目指します。
【国語】
取るべき問題、落としてよい問題の識別を提供いたします。慶応大志望の方は、小論文講座をご検討ください。


